~洛陽~
モンゴルへ2週間ほど行き、北京に戻った翌日の夜行、初の硬臥寝台にて北京西駅から洛陽に到着。
洛陽は歴代9王朝が都を置いたことから、「九王朝の古都」とも呼ばれる、歴史的にも大変栄えた町である。一見観光客がたくさんいるように見えなかったが、夜になるとホステルのそばに屋台街が登場し、やけに賑やかになる街の感じがお気に入りになった。
ここでは関羽の首塚がある関林廟と龍門石窟を観光。
暇つぶし程度に行ってみた(と言っては失礼だが)関羽の墓。いざ到着して、実在した英雄が敵であった曹操によって祀られたというその廟や塚を前にすると、感慨深いものがある。特に三国志ファンにはたまらないのだろう。哲郎氏は隅々まで歩いて回り、三国志を思い浮かべて味わっていたようである。
智と勇と武を持ってこの広い大地で戦い抜いた英雄は、今同じ大地に生きる子孫たちをどう思っているのだろうと思いを馳せた。
龍門石窟は、敦煌の代わりに行く事にした場所。
中国の三大石窟の一つで、河を挟んで両岸の丘に石像や彫刻が彫られた洞窟が1kmも続いている。メインは龍門山の方で、無数に彫られた大小様々な洞窟の中に、石像がいたりいなかったり。一番大きな奉先寺洞と呼ばれる石窟には、高さ10から20mもあろうかという石像が何体も残っており、その迫力と合わせて表情や装飾なども見応えがある。
対岸には石窟はほとんどなく、散策路が幾筋か続いているだけだったが、個人的には対岸から見た龍門石窟の全体像もまたオススメの眺めである。
洛陽の屋台ではユーラシア大陸をトルコまで横断するという大学生チャリダーも巻き添えに、蚕の串揚げを食べてみた。想像するのも嫌だという人もいると思うので、お味の詳細は書かない事にするが、経験として一生に一度で十分と言えばおおよそ見当はつくだろうか。。。
そして実は洛陽で一番印象的だったのは、路線バスでの出来事。
中国の近距離路線バスは大抵定額なので、乗る時にバスの外に書いてある金額を確認したり、運転手に確認して払っていたのだが、なぜかこの時は1元と思い込んで、二人分で2元払って乗り込んだ。
ちょうど始発のバスに乗ったので座って出発を待っていると、運転手がやけにヒステリックに怒鳴っている。なんの事かわからず様子を見ていると、怒鳴り声はどんどん大きくなり、髪を振り乱し気も狂わんばかりに怒鳴りまくっている。そしてミラーで目があったのは私達。どうやら金額が足りないらしいと気付いて慌てて払いに行くと、料金回収の箱に1.5元と書いてあった。「わーごめんなさい」と謝りながら足りない1元を払うと怒鳴り声はやんだ。
自分が悪いのは百も承知だが、他のお客さんもいる中で、大の大人があの取り乱し様は凄い。。。
さてもう一つバスでの事。そのバスは通路にも10人くらい立っている混み具合だったが、運転がすこぶる荒い。市街地の路線バスで山道でも何でもないのに、急発進急停車を繰り返し、座ってる私も座席から滑り落ちそうになるくらい。実際に立っているお客さんが尻餅をついたが、運転手は知らん顔。
日本人的には運転手に文句の一つも言ってしまいそうな場面だが、そこはお国の違いであろうか。転んだお客さんも笑っているし、隣で引き上げてくれたおばちゃんも笑いながら「こっちにつかまりなさい!」なんて助け合って、何だか和やか。中国人は運転手に対して寛大である。
他の町でも運転が荒い事はよくあったし、運転手が自分好みの音楽を爆音で鳴らしている事もあったので、バスの中では運転手が絶対なのだろう。
そんな中国の国民性を感じつつ、夜な夜な屋台で食べ歩いた洛陽であった。